新野の盆踊りに行ってきました。
お盆休みの最後の日、弊社社員がリモートワークの実験を行っている「下伊那郡阿南町新野」の新野高原盆踊りを見に行ってきました。
なかなか進路が決まらない台風10号でしたが、16日の早朝には日本海側に抜けるとの予報だったので、台風一過の青空のもとのお祭りになるかなと思っていましたが、道中、豪雨、突風でお祭りの開催が心配になるほどでした。
新野の盆踊りは500年ほど前から始まったと言われ、昭和53年には国の無形民族文化財に指定されるほど伝統のあるお祭りです。戦時中など開催が困難な状況が合ったそうですが、それでも一年として休んだことがないそうです。
お祭りは、毎年8月14日、15日、16日と午後の9時から翌朝6時まで踊るパワフルなお祭りです。台風が心配された15日も休むことなく開催されたそうです。
新野の盆踊りは地区の家々の精霊供養のために、御霊迎え、御霊慰安踊り、踊り神送りといった信仰的要素が強いことが特徴です。踊りの種類は7種類で、扇子を使うもの、使わないものなどあります。うち「能登」という踊りは17日早朝に行われる「踊り神送りの式」の時にしか踊らない決まりがあるそうです。
他のお祭りとは異なり、太鼓といった鳴り物は一切なく、肉声と手拍子で踊ります。櫓の上で音頭取りがうたうと踊り子が返しの唄をうたい、一体となり夜を徹して踊り続けます。見ていると踊り子さんは次々入れ替わり、いろんな唄がうたわれます。踊り音種類は7種類ですが、節はおなじでも歌詞が違うのでついつい聞き入ってしまいました。
移動の疲れもあり、中抜けしたのですが、翌朝4時に会場に来てみるとたくさん踊っている人がいました。中には先日インタビューを受けた信濃毎日新聞の記者さんのお顔も。知っている人がいると、会場の輪に溶け込みやすくなり気持ちが楽になります。
6時ごろからでしょうか、鐘の音とともに踊り子さんが小さな輪を作り踊り始めました。「踊り神送りの式」の始まりです。櫓に掲げられていた、初盆の各家庭の切子灯籠を携えた神の一行がやってきます。小さな輪はお祭りを終わらせないように、神々の一行を阻むかのように踊ります。送り神の一行は踊り子の輪を優しくも激しく楽しく突き進んで行きます。送りの会場まで何度も小さな輪が作られました。
送りの会場についた一行は切子灯籠を積み重ね、その前で行者が呪文を唱え九字を切り、刀を抜いて道切りの式をします。花火の合図で切り子灯籠に火が点けられます。
一同は振り向かず秋歌を歌いながら帰るのが習わしだそうです。
新野の盆踊りが終わりました。初めて訪れたお祭りでしたがとても魅力的で楽しいお祭りでした。他地区のお祭りには何度か行ったことがありますが、そこには必ず出店がありました。新野の盆踊りには出店がありません。確かに観光客にとっては食事をするために出店があるのはありがたいですが、地域の子どもたちまで踊りを楽しむという意味ではなくて良いものなのかな、と思いました。
唄は膨大にあり、時代に合わせて増えていっているようですが、若い世代に唄い、踊りつつけてほしいと思いました。とても素朴な楽しい盆踊りでした。
準備を含め数日に渡り実行委員の方は大変なご苦労だったかと思います。本当にお疲れさまでした。この素晴らしい盆踊りを後世に伝えるため、ご協力出来たらと思います。
最後に、新野の盆踊りの様子を動画にしてみました。
16日深夜までの短い動画ですが、雰囲気は伝わるのではないかと思います。
※インスタグラムのアップした動画と同じ内容です。インスタグラムでは正方形にトリミングされてしまったため、こちらにアップしました。